健康コラム

2022.10.01

ホメオパシーはプラセボ効果なのか

  • ホメオパシー

スイスとドイツ、イギリスの大学の共同研究で、ホメオパシー療法がプラセボなのかを実験した論文がありました。

25人の健康なボランティアを対象に、ホメオパシーのレメディ2種類とプラシーボの砂糖粒を取らせて、出てきた症状を書き留めました。もちろん、対象者は自分がレメディを取っているのか砂糖粒を取っているのかは内緒です。さて、どうなったでしょう?

Homeopathic pathogenetic trials produce specific symptoms different from placebo. Möllinger, H., Schneider, R. & Walach, H. (2009) Forschende Komplementärmedizin 16:105-110

ホメオパシーの薬効書はこのステップで出来上がる

物質を極限まで薄めて用いるホメオパシーは、プラシーボ(偽薬)とみなされることが多々あります。気分によって病気が治ったんでしょう、というやつですね。
しかし、ホメオパシー療法では健康なボランティアがレメディを摂取して、自分たちが経験する症状を細かく報告します。これをレメディのプルービングまたは病原性試験と言います。
このような試験から得られた症状は、たくさんの毒性学的な情報とともに、ホメオパシー・マテリア・メディカ(薬効書)に掲載されます。
つまりマテリアメディカとは、物質が健康な人にもたらす症状をまとめたものです。この情報をもとに、「患者さんの症状像」と、「特定のレメディがボランティアにもたらした症状像」とを照らし合わせて、類似の法則が見いだせる場合に、その特定のレメディを患者の治療に利用します。
ですから、マテリアメディカなしには、私たちホメオパスはクライアントさんのベストなレメディを選ぶことはできないのです。

レメディは1,500種類以上(3,000種というホメオパスもいます)ありますが、そのうち約150種類はいわゆるポリクレスト・レメディと呼ばれ、多様な症状に対応する名の知れたレメディです。
そのほとんどは、ホメオパシーの創始者であるDr.ハーネマンが発見したもので、今まで何度となく応用され、慢性疾患にも使用されてきました。

2種類のレメディで実験

ボランティア25名に、ホメオパシーのレメディーNat-mナットミュア30C、Arsアーセニカム30C、またはプラセボ偽薬のいずれかを服用させました。

Arsのレメディを取った人は典型的な6つの症状が、Nat-mでは典型的な5つの症状が出ました。プラセボ群では非特異的な症状が11個出ました。その一部を画像にします。

画像から、それぞれのレメディ症状とプラセボ郡の症状に明らかな違いがあることが理解できます。
論文では、ホメオパシーはプラセボではないという結語で終わっていました。

補足

この画像の他にも、それぞれのレメディーには次のような典型的な症状があります。
たとえば、Nat-mならば唇が縦にひび割れて出血したり、 自分のことについて誰かに話して慰めてもらったりするのを嫌がるとか。Arsであれば、人をこきつかって自分勝手だったり、計算高くて度ケチだったり、冷え性だったり。

このような症状が、適切に選ばれた健康なボランティア・グループにおいて偶然に起こるということはまれで、臨床的な症状の実際は、こういう症状の人が特定のレメディを取ったら症状が改善したという経験から導き出される場合が多いと言えます。
しかし、200年以上の積み重ねられた実際の経験から導き出された膨大なレメディの情報は、今日の私たちホメオパスの健康相談においてとても貴重な資料となっていることに違いはありません。

最後までお読みありがとうございます。

#プラセボ
#偽薬
#研究

健康相談コラム